おしっこ恥ずかしがり屋

 公衆トイレで後ろに並ばれるとプレッシャーから放尿できなかったり、隣の小便器に人がいるだけで落ち着かなくて放尿できない男がいる。英語圏の動画をあさっている中で得た浅はかな知識では、これを’pee shy’とか’shy bladder’と言うと知った。アルファベットには弱いため、もし間違っていたり、より適切な語彙があればTwitterのリプなどで指摘してほしい。またこの現象を的確に言い表す日本語があれば、同じく知りたいところである。なお、これらの英語をgoogle翻訳にかけてみたところ、「おしっこ恥ずかしがり屋」とか「恥ずかしがり屋の膀胱」いう訳語が爆誕した。

 この問題は、公衆トイレをはじめとする出先で利用する男性用小便器の大半が、個室ではなく、プライベート空間と言えない構造になっていることが起因しているのは明らかである。そして、それを利用する人間の性格によっては、後ろにションベン待ちの他人に並ばれると、「早くしろよ」と思われているのではないか、「遅せーな」とじろじろ見られてる錯覚に陥ってしまい、極度の緊張を感じ放尿できない事態になってしまうのであろう。

 後ろに放尿待ちの男たちに並ばれていなくても、隣に誰か別の男が小便器に向かっているだけで集中できないという話も、なるほどねと、理解できる気がしてしまう。なぜなら、家庭のトイレは一般的に個室の構造なのであり、基本的には誰かに見られながら放尿をすることに対して無敵でスターマリオ状態な男なんて少ないと思う。もちろん、駅のトイレで隣の小便器に立った男は、自分のモノなど普通は見ていないはずである。だが、見ている、あるいは、見られているなどの可能性とは違う次元において、自分以外の人間が自身の排泄行為の最中に至近距離に存在してしまっていることそのものが集中を阻害し、放尿を困難にするのだろう。性格的な関わりも非常に大きいと思われるこの問題について、今回は考察していきたいと思う。

 総じて「おしっこ恥ずかしがり屋」さんは、トイレ以外の場所で立ちションすることも難しいかもしれない、という問題から切り口を入れていきたい。要するに、自分一人で安全かつ落ち着いた状況での放尿を望む心理なわけであるから、トイレじゃない場所での放尿なんてもってのほか、落ち着けるわけがない。次の具体的なシチュエーションを考えて、おしっこ恥ずかしがり屋さんの立ちションができない苦労を考えてみて欲しい。

 さて、高速道路で社員旅行のバスがかなり先の事故が原因で渋滞しました。あなたは、「おしっこ恥ずかしがり屋」さんです。さっき先輩におごられてとりあえず飲んだ「あったか~い」缶コーヒーは、あったか~いションベ~ンとなり膀胱を95%占領中。その先輩も、どうやらションベンがしたいようで、ちょうどバスは高速の路肩に出られそうな場所で停車中。男ども4人で立ちションに向かいました。さて、おしっこ恥ずかしがり屋さんのあなたは、立ちションベンができるでしょうか?という問題です。

 無理だよね。青空だし、バスの中には他の社員いるし、待たしてるわけだし、丸見えだし、恥ずかしいし、連れ立ちションだからそもそも近距離に別の社員いるし、ウェーーイ↑って雰囲気だし。様々な条件が重なって、落ち着いて放尿なんてできるはずがないわけで。ションベンがしたくてしたくてたまらないチ●コを、とりあえず周りを真似てチャックから出してみても、出ないだろう。路肩では別の男たちが、すごい勢いで気持ちよさそうにジャージャーと透明のションベンを音を立てながら放出している中、おしっこ恥ずかしがり屋さんは、一人だけションベンが出ないまま、数分間無言でチ●コを出し続けている状態となってしまう。なお、ひょっとしたら1~2滴なんとかポタっと出せるかもしれない。これは実際に、他人が近くにいると気が散って全く放尿ができない知人から耳にした話なのだが、そういう人の一部は、何とか数分かけて落ち着きを取り戻すと、かろうじて1~2滴、あるいは一絞りだけポタっと出せるのだと言う。だけれども、その後のションベンが続かなく、1~2滴だけ出した後はキュっと尿道が閉じてしまい出なくなり、更に焦ってしまい、結局は状況的にションベンが出したくて出したくてたまらないままチ●コをパンツにしまうという辛い経験をするそうだ。今回は高速の路肩での連れ立ちションを例にしているが、この状況下で一人だけ立ちションができないのは非常に辛いと思う。バスに戻ったら「みんなで立ちションしたはずなのに、A氏はまだ我慢している」という、理解のない人間には謎の状況が発生する。

 ここから分かる事は、トイレじゃない場所で放尿しなければいけないという恥が圧となりのし掛かってきた場合に、それは駅の混雑した小便器で他人に後ろに並ばれるプレッシャーと比べたものなら、数倍ぐらいの恥ずかしさに匹敵するはずである。小便器であっても視線がプレッシャー、トイレじゃない場所であってもプレッシャー。では、どのようにしたら克服できるのか。なお、当ブログは医療機関からの情報発信ではないため、あくまでこれは民間療法としての提言であることを忘れないでもらいたい。というか、ギャグ扱いしてもらってもヨシ。でも、ギャグで恥ずかしがり屋の膀胱が、恥ずかしがらない膀胱になるのであれば、有能ではなかろうか。

 大前提として、心理的要因から来るおしっこ恥ずかしがり屋さんも、当然小便の我慢が膀胱量に対して限界を迎えると、ズボンとボクブリの中でパニックの中フィニッシュしてしまうはずである。ここからこの問題を読み解いていくと、おしっこ恥ずかしがり屋さんは、“トイレで放尿する姿がプライベート”であり、なおかつ“チ●コが他人に見える状況下になることが恥ずかしい”という固定概念的な支配を自分自身にかけてしまっているのかもしれない、という可能性を指摘したい。先に述べた、我慢の限界でおもらししてしまうのは、要するに、ハプニング的なおもらしなのだから、そもそもプライベートな概念などあるわけがないし、そしてまたおもらしだから、チ●コはズボンの中に隠されているのである。だから、意思と関係なく最後にはツーっと出てしまう。(※以前、Twitterでもつぶやいたが、成人した大人が本当にアクシデント的に小便を漏らすときは、一気にジャーと漏らさない。ツーっと細い放尿線でおもらしする)つまり、この固定概念を少しずつ壊すことができれば、もしかすると「どこでもどんな状況でもションベン出る出るマン」になれるかもしれない。

 解決案をつぎのように提言したい。まずは、「トイレで放尿する姿がプライベート」という定義は、どうにも変えることができない社会のため諦めよう。ではどうするのか。トイレはプライベートな空間なのだから、トイレ以外で放尿する練習をしてみてほしく、シャワー中や風呂場(洗い場)での放尿をおすすめしたい。まずはシャワーで体に水をかけている最中にコッソリ放尿ができるかどうか。翌日は、裸でシャワーを浴びる前に、乾いたシャワールームめがけて放尿ができるかどうか。翌々日は、普段の服装でチャックからチ●コを出しシャワールームめがけて放尿。徐々にステップアップしていくのである。おしっこ恥ずかしがり屋さんにとっては、なかなか難しいかもしれないが、自分の家だから誰にも迷惑はかけず練習することができる。掃除をするのも自分である。(同居人がいたらバレないように。)これに慣れてしまえば、プライベートなトイレという空間だけで行うことが許されるとの勘違いから解放され、トイレ以外でできた自信が付くであろう。その自信は、混雑した小便器で周りの人間が気になってしまったときに、「シャワーで放尿できたのに、なぜ便器の前で放尿できない?!」と自分を言い聞かせる根拠になるはずである。

 次に、「チ●コが他人に見える状況下になることが恥ずかしい」問題であるが、これは外のトイレの小便器では過度に隠すことをしない練習をすることで、気の持ちように若干の変化が見られるのではないかと予想する。もちろん、小便器から1メートルも離れていたらヤバイ人であるが、普段ぴったり衣類を小便器に密着させるまでくっつけているようであれば、徐々に離していくのである。小便器の前では、男はチ●コ丸出しになるのは恥ずかしいことでもなんでもなく、トイレという文明が作り上げた習慣なのである。言い換えれば、小便器の前では放尿をするといった目的を達成させるためであれば、チ●コが自由に出せるのである。だから、数センチ余分に便器から離してチ●コを突き出して放尿しようとしていても問題はないのである。これを毎日繰り返すことで、他人にちょっとくらい見られてしまっても構わないという、ゆとりある気持ちになるはずである。

 おしっこ恥ずかしがり屋さんや、恥ずかしがり屋の膀胱をお持ちの方々がこのブログを見ているとは限らないが、他人が近距離にいると放尿ができなくなる悩みや、小便器で後ろに人の気配があると出なくなるような人は、今回紹介した民間療法をぜひトライしてほしい。もし克服の兆しが見えたのなら、Twitterのリプで報告を忘れないよう、よろしくお願いしたい。