コンテナに囲まれた影で地面にオシッコを放つ男たち

 コンテナ関連の職場における立ちション情報の垂れ込み、続編である。今回は、陸地業務に関することについてまとめていきたい。コンテナ船に入り、その通路から海にションベンを放つ職務(?)のみならず、彼らの職種は陸地でも立ちションせざるを得ないことがあるようである。

 大井埠頭にはコンテナ船から積み下ろされたコンテナや、反対に船に積み込むまで陸地にてコンテナを保管する広大なコンテナヤードと呼ばれる一角があるという。コンテナに関わる男たちの持ち場として、このコンテナヤードの業務というのがあって、そこで働く男たちの間でも立ちションはごくごく当たり前に行われているらしい。読者のみなさんにもイメージしてもらいたいので、画像検索などでコンテナヤードをサーチしてみてほしい。コンテナが置かれた広大な敷地がどのような場所か確認できることだろう。ここで立ちションが当たり前のように行われているのである。

 コンテナ船と同じく、ここでの仕事を任された男たちは、出勤の後、事務所から車で現場に配置される。そして、コンテナ船と同じく、食事を伴う休憩以外は、この場所で1日の職務を全うする。デスクワークと違い、数歩でトイレにたどり着けるような環境ではないのは想像どおりである。ションベンの場合は、普通に立ちションをするようだが、いわゆる街中とは違って、一箇所でみんながやるようなスポットはない。このコンテナヤードのどこらへんで立ちションするのかと言えば、一般的にはコンテナとコンテナの影でおのおのが適当にやってしまうらしい。コンテナは列をなしてルールどおりに整頓されている。もちろん、安全上の理由であり、やみくもに置かれているわけではない。なので、完全に隠れられる場所は基本的には存在せず、コンテナとコンテナの間で、ちょうど人に見られない瞬間を見つけて、ささっとションベンを済ませてしまうと言う。コンテナ船に乗り込む業務では海に放尿されるのと違い、こちらはションベンがコンクリートの地面にしっかり残るため、どちらかと言えば陸地の業務での立ちションの方が、格段に恥ずかしいらしい。なので、普通はみな誰もいない瞬間を狙ってやるのだと言い、他の人が立ちションしている現場を目撃することはあまりないと言う。ただ、明らかにションベンした怪しい水たまりは、頻繁に見かけるらしい。ためしがき取材班は、恥じることなく「ションベンの跡の写真とかって、持ってたりしますか?」と聞いてみたものの「そんなもん、ねーよ」と返されてしまった。

 興味深いことに、コンテナとコンテナの影で立ちションする男たちは、ションベンをコンテナに引っかけないらしい。まぁ、当たり前と言えばそうなのだが、管理を任されているコンテナは人様のモノであるから、それにションベンを引っかけるなんて事はできないのだろう。だから、コンテナという巨大な影に隠れつつ、コンテナにはションベンがかからないような距離感でコンテナに向かって、あるいはコンテナの横で立ちションをするらしい。そうすると、ションベンのほとんどがコンクリートの地面にピチャピチャと落ちていくのだが、当然、気をつけてもかなりの滴が、地面からさらにはねてしまって、コンテナにかかってしまうようである。

 また、おもしろいことに、このコンテナヤードで働く男たちは、ションベンをどうやら我慢する必要はないらしい。どういうことなのかと言うと、周りに誰もいなくなった瞬間になったとき、ふと「ションベンしておくか」という気分になるらしい。ションベンがしたくなってから、立ちションできる場所を探すのではなく、「今ならできる」というタイミングで、とりあえず立ちションしてしまうらしい。だから、ションベンの量もさほど多くなく、サクっと数秒で終了できる。しかも、取材に応じてくれた知人は、タバコで一服するような感覚で「みんな、“ヒマだからションベンしちゃお”みたいな感覚。退屈な仕事(ラクという意味ではない)だから、ションベンすら気分転換」とも話していた。この、いつでもどこでも、仕事の合間に立ちションができる空間が存在していることに、驚きを隠せない。うらやましい。

 このコンテナヤードの事例以外にも、海上コンテナ業界に関連した陸上では、立ちションがあふれていると言う。コンテナステーションと呼ばれる集積所では、コンテナを積んだトラックが、そこに入場するまでの道で酷い渋滞に巻き込まれるらしい。スムーズに入れることなどなく、普通に30分単位の待ち時間が生じるという。もうお気づきだと思うが、そのトラックドライバーたちが堪えきれずトラックから降りて立ちションをしてしまうらしい。立ちションクラスターの読者なら、トラックドライバーの立ちション事情には熟知されていることだと思うが、大井ではトラックの前面のナンバープレートあたりを目がけてションベンをするのが普通らしい。話を詳しく聞くと、トラックの横だと丸見えになるから、縦列したトラックの影になるのは前面だから、そこで自分のトラックと、前方のトラックに作られた空間でションベンをするらしい。また、確認はしていないが、ペットボトルでションベンしている人も多いのだろうと思う。

 基本的には、そこで働く者以外が入れない空間で行われる立ちション。どうにかして見てみたいものであるが、絶対に見れないことも明らかであるため、実はこの記事を書いている途中で、異常な虚しさを感じてしまい寝込んでしまった。見たくて見たくてしかたないものが絶対に見れないと分かったとき、読者のみなさんはどんなことを感じるだろうか。双眼鏡を持っていき、大井埠頭の海を見ているフリでもすれば偶然見れたりするのだろうか、なんてことを考えながらGoogle Mapsでこの場所を探っていたら、みごとに具合が悪くなってしまった。タチション・ファンタジー。というわけで、ごきげんよう。