少し前に透明なミルクティーが流行った

 以前は、朝はいくらでも寝られる気分で、目覚ましに無理矢理起こされるようなごく普通の日々を送っていた。平日はスヌーズを使うことが前提の時間に設定していたし、まぁよく遅刻していなかったなと思うほど、ギリギリまで寝ていた。かといって、不眠症なんていう自覚などまったくなく、そういった悩み自体、考えたことがなかった。だから、寝付きも決して良くはないけれど、かろうじて夜は寝付いていた。ただ単に、朝はだらだらと二度寝を繰り返していたい性格の人間なんだな、ぐらいの認識だった。このブログ的なライフハックとしては、寝る前の約1時間前にコップ1杯強の水を飲んでから寝ると、朝には膀胱がパンパンになり、嫌でも起きなければならなくなる。
 
 あっ、検索サイトを経由して、カフェイン断ちの真面目な情報をお求めの場合は、このブログでは有益な情報はきっと1つもない。これは先に断っておきたい。

 さて、2023年の2月にカフェイン断ちをしてほぼ成功した。過去の記事にも書いたように、メンタルの不調から安定剤を処方され、そのときに「できるだけカフェインは控えるようにね」と、医者に言われた。素直に従った。考えてみれば、コーヒーを本格的に飲むようになったのは、高校生のときからである。それ以前にも、家では母が豆を挽いて父のためにブラックを淹れていた。だから、それを朝や休日のティータイムに一緒に飲むことは多々あり、でもそのときはまだそれが特においしいモノだとは思ってはいなかった。コーヒーのいい香りをかぐと、いまでも家の居間を思い出す。

 続いて高校でのコーヒーとの出会いを書いていきたい。高校は、いわゆる偏差値は低いけれど、面白い先生がたくさんいた。そして一応、特進コースのクラスに入っていたから、夕方を超えて暗くなるような遅い時間まで、要は予備校に行かなくてもいいようにと、正規授業以外に補習授業を受けることができた。世界史と古典と地理の先生が好きだったから、受験科目とはあんまり関係ないけれども、その3つの授業を受けていたと思う。コーヒーにはまったのは、確実にこの補習授業が契機だった。家から高校まで少し遠く、電車で通っていたから、朝も6時台には起きているのに、暗くなるまで授業を受けている。そりゃ眠いじゃんっていう話の流れで、眠くならないコーヒーという飲み方と出会ってしまった。
 
 高校の自販機は、カゴメのパックジュースが買えるタイプのものだけが、校内に何台も置かれていた。缶ジュースの自販機はなく、全部カゴメのパックジュースに統一されていたのは今思えばなんとも不思議だ。そのパックのカゴメの加糖コーヒー(365ml)がおいしくてすぐにハマった。100円だったと思う。今でもどこかで買えるのかなぁ。

 飲むと本当に授業中はまったく眠くならなかった。たぶん自分の体は、カフェインのそういった作用が効きやすい。それまで、家では母が淹れたコーヒーは飲んでいたが、朝や昼にしか飲んだことがなかったから、眠気が覚めるという作用は高校生になって初めて知ったし、かつそれを初めて強く実感した。それからは、補習授業の前には必ず飲むような日々が続いた。ただ、そのコーヒーを授業前に飲み干すと、50分授業の終わりには、必ず猛烈にオシッコに行きたくなるから、そのこともあって眠気が吹っ飛んでいた可能性もある。余談だが、高校生って「ションベン」と表現するよりかは、「オシッコ」っていうかわいい語彙のほうが似合うと思う。それはきっと自分が年上好きだからであって、高校生はまだガキンチョだからオシッコ、みたいな思考回路なのかもしれない。

 授業が終わり、教室の椅子に座りながら我慢していたオシッコを、小便器に向かっていざ出そうとすると、男の場合、実は勢いがなくなる。個人的な見解だが、座っている状況で我慢しすぎると、出せる状態になったときにはなぜか勢いが出ないように思う。座っていない状態で我慢しすぎても、その後の放尿の勢いに影響はないと感じる。歩き回っている最中に我慢しまくって、放尿すると勢いよく出せて、すげぇキモチイイ。どうだろう。みんなの体験記も聞いてみたい。
 
 大学にあがってからは缶コーヒーとか、ドトールとかで、自らコーヒーの味を求めて飲むようになった。チェーンのお店だと、ドトールが一番おいしいと思っていた。あと、珈琲館のシンフォニーというパフェは超オススメである。・・・コーヒーではないが。

 その後も、一人暮らしを始めてからは、自分で豆を買い求めたり、結局いろいろ飲んでみてもコロンビアが好みだなぁ、とか、業務スーパーで売ってる紺色の徳用のやつが味も良く、結局のところコスパ最強だなぁ、とか、とにかくよく飲んでいた。お酒が得意ではないから、翌日が休みのときは、多少眠れなくなっても困らないと、夕食後にコーヒーを淹れてゆったり音楽を聴きながら飲むのも、味だけでなくその雰囲気そのものが好きだった。
 
 そんなこんなで、高校から今までずっとカフェインをとり続けていた。さらにはコーヒーだけでなく、日本茶も紅茶も、よく飲んでいた。実家では、日本茶は父のために淹れていたし、社会人として新人のころは、上司にだってよく緑茶を淹れていた。「庶務の子より、淹れ方がうまいね」なんて褒められたことだってあった。職場の手狭な給湯室は、電気ポットしかない。だから温度を緑茶に最適な75度に、なんてことはできない。しかも備品として発注された安い茶葉しかないものだから、いろいろ試した結果、安いその茶葉は普通の2倍くらいに大量に使っちゃって、さっと20秒くらいで淹れるとおいしいことに気づいた。しかも、緑の色も鮮やかに出て、見た目もいい。庶務のおばちゃんに聞かれ、その淹れ方も伝授したのも、いい思い出である。
 
 このようにカフェイン断ちをするまで、コーヒーとお茶でカフェインを取らなかった日なんて、ほぼ1日たりともなかったはずである。そして、いざ、医者にカフェインを控えましょうと言われても、どうしていいか分からなかった。最初の1週間は、とにかくまずはコーヒーだけを避けるようにした。その分、いつもどおり紅茶や緑茶は飲む、コーヒーが飲みたいなと思ったら紅茶にする、といった具合に置き換える方法を試した。コーヒーを飲まないことにより、摂取するカフェインの量は少しは減ったとは思うが、結局は感覚としてはお茶で摂取しているから、体に一切の変化はなかった。いわゆる離脱症状のようなものはなかった。ただ、コーヒーの香りは恋しいな、という程度。
 
 2週間目は、ついにお茶も紅茶も1日1杯まで、という制限をかけた。水分補給は、水・白湯・麦茶に置き換えた。中でも、ホットの麦茶は、風味も少しだけコーヒーに近くておいしく感じた。その一方で、カフェインの離脱症状らしきものが強く表れてきたのもこの頃だった。とにかく、頭痛がひどかったし、常に眠いような感覚があった。ただ、私の場合はカフェイン断ちの裏には、安定剤の服用があったわけだし、一般的なカフェイン断ちとは少し状況は違うと思う。この眠気は、全てのやる気を削いでくるほど手強かった。でも、この症状があっても、お茶の1日1杯を超える量のカフェインは摂取しなかったため、はたしてこのときにコーヒーを飲んだところで、その頭痛が消えたのかどうかは定かではない。
 
 このお茶や紅茶の1日1杯という制限は、ほぼ1ヶ月くらいの時間をかけて継続した。そして、その後は、お茶と紅茶を飲むのもやめ、完全にカフェイン断ちを果たした。このときは、離脱症状のようなものは一切なく、ただなんとなく緑茶とか紅茶が飲みたいな、程度で済んだ。唯一めんどくさかったのは、昼間の付き合いとして、何か飲み物を飲みながら話さなければいけない場合だった。正直に、「飲んでる薬と相性が悪くて」なんて言ってごまかして避けるのは、複雑な気分だった。本当は飲みたいのに。でもそれから結局は、「完全な」カフェイン断ちは約1ヶ月でやめてしまった。
 
 実は、これを書いている今、つまり5月現在では、「お茶と紅茶を1日1杯」という緩めの制限に戻すことにした。理由としては、飲まないこと自体がストレスになっていたし、ルイボスティーとかハーブティーに置き換えても、味はおいしく感じた。でも、それらは値段が安くない。なのでコスパ重視の、ほうじ茶か玄米茶という若干なりともカフェインが少ない茶葉を選び、それを1日1杯だけ飲むといったかたちで落ち着いた。
 
 コーヒーを飲むと、利尿作用でションベンがよく出るし、しかもションベンからはコーヒーの香りがする。他人が、コーヒーを飲んだ後にした、コーヒー風味のションベンのニオイは嗅いだことが、まだない。(ビールの後のアルコールっぽいやつなら、何度もあるが)こう見えて、経験は豊富ではないのだ。少し前に、透明のミルクティーなんていうペットボトル飲料が流行ったと思う。買って飲んだことはなかったが、コーヒー後のションベンも、エッチな透明なコーヒーだなぁ、なんてことを考えながら、当時は透明のミルクティーが売られてるスーパーで、それを横目にしては心の中でムラムラしたものだった。
 
 とりあえずコーヒーは飲みたいが、それよりコーヒーを飲んだ後の男のションベンのニオイを堪能できれば、もう今はそれでいいかもな、と思うようになってきた。

 今は本当によく眠れるし朝も目覚めがいい。でも、コーヒーくさいションベン…どこかに…落ちてませんか…