まだ川崎に住んでいたころ、メン◯゛ネットジャパンの掲示板に書き込みをしたときの話。まだガラケーの全盛期で、サブ機として持っていたWILLCOMのメアドで募集したと思う。”洋ぽん” との愛称がついていた折りたたみPHSで、手になじむ丸い感じがとても好きな機種で、アクセントの水色もおしゃれで気に入っていた。いろんな出会いや思い出を、この通信機器を経由して作り上げてきたと思う。
掲示板に書き込んだ内容はと言えば、おおむね次のとおり。正直なところ正確な文面は覚えていないのだが…。
こんな時間ですが…おしっこしたい[162#53#27]◆New!
◯◯◯前のト(隠語)に24:30頃。おしっこ我慢してるので、その場で欲しい人に詰めます。めんどうなしで直接、空のペットボトルを片手に来てください。空のペットボトル持っているのが合図で、それらしき人に話しかけます。
河川敷のマイナーな場所に、指定は24:30。最悪ひとりも来ない覚悟で募った。「見た目、悪く言われません」とかも書いたりしてたかも(爆)←古いインターネット地方の方言。なお令和8年現在、私の見た目は激しく劣化。見た目、すっかり悪く言われます。
とりあえずは指定の時間にちょうどよく放出できるよう、計画的にウーロン茶を事前にグビグビかつ小まめに摂取。せっかく来ていただくのに、500mlのペットボトルくらいは満杯に埋め尽くさなければ失礼にあたりますし。そして、ある程度の膀胱のふくらみを感じた時点で家を出たのだが、計画的に摂取したつもりの水分は、歩き出すとともに体全体に循環され、どんどん強烈な尿意を感じ出す。勃起させると物理的に尿道が狭まる経験則から、歩きながら服の上から乳首をこすったり、いやらしい立ちションのことなどを考えたりして、なんとか漏らさないよう勃起小便我慢を敢行した。というのも、普段からどこでも立ちションする20代後半男子だったので、屋外での我慢はすごく苦手だった。家を出てからも、この出会い系掲示板遊びが不発に終わらないかと不安ではあった。スマホの出会い系アプリもまだ流行る前、つまり掲示板の全盛期。ニッチな深夜のおしっこプレゼント企画に、果たして人が反応するものだろうか。そんなことをモジモジ(※おしがま) 考えながらもこちらが指定した場所に到着。するとそこには、予想外の光景が広がっていた。
トのまわりに、人がたくさん。
深夜に?
なんかのイベント?
花火大会でもあった?
終電もたぶん終わっているような時間。スポーティなチャリも止まっている。普通のシティサイクルにまたがっている人もいる。
あっ…全員、空のペットボトルを持っている…
たぶん6人いた。そう、6人が来てくれたっぽい。ちゃんと数えたわけではないけれど、記憶の限り少なくとも6人はいた。24:30という時間してにも関わらず、こんなにも(6人)集まったことに対して驚いてしまった。もっとも、掲示板に書いた「めんどうなしで」の文言は、要はメールのやり取りやら、顔写真の交換やらをすっ飛ばして、誰でもokの合図でもあったと思う。
わぁ…どうしよう。正気に戻って、目の前の6人をどうしようか、脳内で段取りを考え出した。おしっこそんなに出ないぞ…ためしがき氏のチンコは、ガストのドリンクバーの膀胱じゃないから(日本語でおk)、6人分のおしっこをご用意できていない可能性がある。シェアサイズのサラダを頼んで、気を利かせて小皿に取り分ける役をかったのはいいけれども、どうも配分が下手くそで、最後の自分の分がほぼなくなっちゃった?そんな感じになってしまう?6人目のペットボトルのクチにチンコをかざして、無言で30秒待って、チロッと数滴しか出なかったら…どうしよう。
で、みなさぁ〜ん!お集まりいただきありがとうございます!確認ですが、みなさぁ〜ん!27歳のおしっこをもらいに来た人たちでよろしかったでしょうかぁ↑?なんて大声で招集&確認をするわけにもいかない。ド深夜ですし。いや、深夜じゃなくともおしっこのお客様確認なんて無理か。出会いの場数はある程度こなしてきたつもりでも、「1対集団(※6人)」はお初なのである。
とりあえず、一番手前にいた細身のイケおじ(2リットルいろはすの空ペットボトル持参)(サッカー稲垣っぽいソフモヒ髪型)(嫌いではない)(むしろ好き)をとっつかまえ、「行きましょ」と、トとは反対の河川敷に連行することに。その人は「いなタン」と呼ぼう。
がき「あれ、みんな掲示板見た感じッスかね?」(~ッスね、はホモが装うノンケ口調)
いな「たぶんね。君が掲示板で募集した人?」
がき「はい。そうッスね」
こんな会話をヒソヒソとしながら、全員の前からは逃げてしまった。ごめんなさい。複数人が来ることなんて想定していなかった。とりあえずは、いなタンだけにおしっこを贈ってこの回は終わりにしようと思った。でも、脳みその伝達系統の一部回路が金玉を経由しているような深夜帯の掲示板利用者は、タダでは私を返してくれそうにはくれないことくらい、覚悟はしていたつもりだ。私といなタンがスルッと河川敷に消えていくのを、追いかけてきた人が2人いた。1人は、スポーティなグリーン系の高そうな自転車にピチピチのサイクルウェアを着込んだ男、それをユニタンと呼ぼう。ユニタンは、筋肉自慢のつもりはなかったとは思うが、河川敷の足場がえらく悪いので、自転車を片手で担いでついてきた。ちょっと怖い。ボコされる?スポーティな自転車って軽いんですネ?もう1人は、大学生っぽいストライプのワイシャツにメガネ姿の若者。とくに特徴がないから、そのまま大学生で。
まずユニタンは立ち止まった私といなタンを通り越しで、立ち止まった。そして自転車を草むらにバタンと倒して、我々に見せつけるように立ちションをはじめた。しかも、すげぇいやらしい声を発しながら。
ユニ「はぁあああ!気持ちイイ〜ションベン、ションベンいっぱい出る…」
いやらしい声なんだが、普通は絶対に言わないセリフ。ションベンいっぱい出てるって、ゲイビデオの「おわっ、すっげ!すっげ!すっげ!おっおっ」と同じくらい日常生活では耳にしないが定型文。すると、いなタンはその人のおしっこをペットボトルに詰めようとしはじめ出した。最初からペットボトルを当てているわけじゃないから、ユニタンの放尿の途中に手を出した。だから差し出した手とペットボトルはビチャビチャに。しかも暗闇だから、ボトルに液体がちゃんと入っているのかどうかすら判断不能。ユニタンは長い放尿を終えると、無言でさっさともと来た道を帰って行った。いなタンはと言うと、手についたションベンを払いのけながらも満足げにペットボトルの蓋を閉め、消えていった。
そしてその場に残された「がき氏」と「大学生」。20代の2人がエロ目的で出会って、なにも起こらないはずもなく…?「どうしよっか。とりあえずそのペットボトルに入れていい?」とこちらが聞くと、大学生は上半身をいきなり脱ぎ始め、上裸になった。胸あたりをめがけて、ぶっかけてほしい、と。真夏の汗ばむ夜だったし、なるほど、そういうプレーか。と躊躇していたその時、またもや集合場所だったト方面から河原のこちらへ、クールビズ姿の中年細身リーマンが近づいてきた。そして、一言。
リ「かけていい?」
大「(コクッ)」YESの意味。
なんか、勝手にみんなションベン・エンジョイをはじめていて、自分だけ取り残された気分だった。もちろん、そこに便乗して楽しむべきだったんだけど、なんか若いときって自分が中心でいたいみたいな変なアイドル願望が出てきがち。
掲示板で募集したのは、この私なんだが。
2人の放尿人と、2人の被放尿人を見て、満足してしまい私はそのままご帰宅さま。ウーロン茶で貯めたおしっこは、いちおうその河原で立ちションで放出し、そこにいたギャラリーに見てもらった。だが誰ひとりとしてペットボトルに入れることは要求してはこなかった。見た目、悪く言われないって、嘘ついたから?